「緊張するとひどい腹痛に襲われ、冷や汗が止まらなくなる」、「便秘に悩んでいたら急に下痢になってトイレから離れられない」などという経験はありませんか?激しい腹痛や便秘、突然下痢になるという症状に悩んでいる人は過敏性腸症候群を患っているかもしれません。
過敏性腸症候群は腫瘍や炎症など、腸に物理的な病因が見つからないため診断されにくく、自身の不調の対処法や治し方が分からないと悩んでいる人も多いようです。
この記事では過敏性腸症候群の症状や検査方法、具体的な治し方について紹介します。
過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群とは、腸内で分泌されるセロトニンという物質が、腸内の受容体と結びつくことで、異常な腸運動が起こるという症状を指します。
このような症状が起る原因はまだ明確になっていませんが、精神的なストレスや自律神経の乱れなどによるものではないかと考えられています。
最近まで、過敏性腸症候群には具体的な検査方法はなく、ローマ基準と呼ばれる病気の標準的な基準を基に患者の症状から診断していました。
過敏性腸症候群と診断されるまでの流れ
過敏性腸症候群と診断されるまでに行われるのは問診と消化器検の病気についての病理検査です。問診では下記のような症状の有無について質問されます。
・過去3か月内に1種間あたり1日以上の腹痛症状があるか
・上記に加え、以下の2項目以上が該当するか
①排便によって腹痛症状や不快感が改善するか
②腹痛や不快症状とともに排便回数が増減するか
③腹痛や不快症状とともに便の形状に変化があるか
消化器系の病気に対する検査を行う理由は、症状が他の病気、例えば大腸がんや憩室症、潰瘍性大腸炎、クローン病を起因とするものでないかを確認するためです。これらの結果と、患者の心理状態やストレスの有無、生活習慣などに関する問診結果を併せて、症状が過敏性腸症候群によるものであるのか、診断されます。
過敏性腸症候群の4つの型
過敏性腸症候群は症状によって下痢型、便秘型、混合型、分類不能型の4つの型に分類されます。それぞれの型の特徴を紹介しましょう。
下痢型
「軟便・水状便が25%以上、硬い便やウサギ状便が25%未満」の状態が続く症状は下痢型に分類されます。
下痢型は、突然腹痛の下痢を発症するため、行きたい時にトイレが見当たらない事態や、仕事や授業中などすぐにトイレに行けない事態に対する不安を抱えがちです。その不安がストレスになり、そのストレスによってさらに症状を起こしやすくなるという悪循環を招いてしまうこともあります。
便秘型
「硬い便・ウサギ状便が25%以上、軟便・水状便が25%未満」という症状は便秘型です。
具体的には空腹時でもお腹が張る、腹部に鈍痛を感じるなどといった症状が便秘型にあたります。
腸が緊張することによって、大腸のぜん道運動は減少し、便は大腸に停滞します。長時間停滞した便は大腸内で水分が過剰に吸収され、ウサギの便のように硬くなってしまい、これが便秘を引き起こすのです。便秘が続くと常に下腹部に不快感を感じ、食欲不振や体調不良になる人もいます。
混合型
過敏性腸症候群の4つの型の中で、一番多いのは混合型です。混合型は「硬い便・ウサギ状便と軟便・水状便がともに25%以上のもの」が該当します。具体的には数日間下痢が続き、その症状が治まったと思ったら便秘状態が続くといった、下痢と便秘の症状が交互にあらわれるというような症状です。下痢と便秘という真逆の症状が交互にやってきて、常におなかに不具合を感じている人が多く、日常生活に支障をきたしている方も少なくありません。
ガス型を始めとする分類不能型
数値的に便秘型や下痢型、混合型に当てはまらないのにお腹の不調が続く場合は、分類不能型に分類されます。診断されにくい「過敏性腸症候群」の中でももっとも診断が難しい分類不能型ですが、その中でも「空腹であるはずなのにお腹がはる」、「おならが無意識かつ頻繁に出て、匂いが強烈」といった症状はガス型に分類されます。ガス型は臭いや音が伴うため、他のタイプよりも症状が人に知られてしまう可能性が高く、ガス型の発症によって、“おなら恐怖症”などと呼ばれる一種の対人恐怖症になってしまう人も多いようです。
抗体検査で分かる?過敏性腸症候群
過敏性腸症候群はその症状から診断するしかなく、原因も明確になってはいませんでしたが、近年、過敏性腸症候群の「下痢型」や「混合型」の原因は、食中毒などによる「感染性腸炎」を起こしことによって産生された自己抗体であるという研究結果が発表されました。
この抗体の有無を調べる検査によって過敏性腸症候群の「下痢型」や「混合型」の確定診断が可能になったのです。この抗体検査薬を取り扱っている診療機関は日本ではまだ数少ない状況ですが、診断が難しいとされていた過敏性腸症候群が、限定的な型ではあるものの抗体検査薬で確定診断が可能になったということは非常に画期的なことだと言えるでしょう。
過敏性腸症候群の対処方法
過敏性腸症候群はまだ明確な治療方法が確立されていません。生活習慣や食生活の改善、対処療法的な投薬を行うことによって症状を緩和し、過敏性腸症候群と上手に付き合っていくしかないというのが現状です。
生活習慣の改善
過敏性腸症候群の要因の一つは過剰なストレスだと考えられています。ストレスをためない、ストレスがたまっても上手に発散できるような生活習慣を身に着けることが大事です。十分な睡眠時間や規則正しい生活を送ること、適度な運動の習慣化など、心身を休めリフレッシュすることに意識的になりましょう。
食生活の改善
過敏性腸症候群は食物の消化機能に大きく関係しているものであり、食生活を改善すれば過敏性腸症候群の症状はある程度緩和します。朝食、昼食、夕食の3食をできるだけ決まった時間にきちんと摂ること、食事の時はしっかり咀嚼し、「ながら食事」は避けること、アルコールやコーヒー、辛いものなど刺激の強い食品の摂取は控えましょう。
特にガス型の場合は、体内でガスを発生させる要因となる乳糖や炭酸飲料も多く摂らないよう気をつけてください。食物繊維は腸内の老廃物を排出するので積極的な摂取したいところですが、豆類やごぼう、さつまいも、ブロッコリーなどの不溶性食物繊維は消化がしにくく、便秘の原因になってしまう場合もあるので、適量を心がけましょう。
乳酸菌やビタミンA、ビタミンB2を含む食品は腸の粘膜を強くするので過敏性腸症候群の症状改善に有効です。
投薬による症状改善
過敏性腸症候群に特効薬はまだありませんが、日常生活に支障をきたす程の症状の場合や、生活習慣や食生活を改善するだけでは症状が緩和されないという場合は、対処療法的な薬が処方されます。例えば下痢が続く場合は下痢止め、便秘が続くようであれば下剤や緩下剤、混合型の場合はポリアクリル樹脂の内服薬が便の硬さの調整に効果的です。
痛みが強い場合は胃腸のけいれんをおさえる抗コリン薬が、ストレスが強いと診断されたら抗不安薬や抗うつ薬が処方されることもあります。投薬は一時的な症状の緩和には効果的ですが、習慣化すると薬が効きにくくなり、場合によっては別の病気を誘発してしまうこともあるので、必ず病院の処方に従いましょう。
まとめ
過敏性腸症候群に悩む人は非常に多く、10人に1人の日本人がかかっている病気だと言われています。近年の研究成果により、その原因は少しずつ明確になってきているものの、今のところ具体的な治療法はありません。
下痢や便秘、おならの頻発などといった症状に強い羞恥心を感じたり、発症したらトイレにこもるしかないため、常にトイレの場所を確認しないと不安になって仕事や学業に集中できないという人も多いようです。このような日常的なストレスによってさらに症状が悪化するといった悪循環に陥る人もいるでしょう。
過敏性腸症候群は腸に直接的なダメージを起こす症状ですが、間接的にはストレスによる精神的な疾患につながる可能性もあります。過敏性腸症候群は「上手につきあっていくこと」が大事です。物理的にも精神的にも胃や腸へ負荷をかけないよう、意識的に生活習慣や体質を改善していくことを心がけましょう。
過敏性腸症候群と診断される症状と大腸がんや潰瘍性大腸炎、クローン病など命にかかわる重大な病気の症状は類似点が数多くあります。胃腸の不調の全てを自己判断で過敏性腸症候群に結びつけるのは危険です。腹痛や下痢、空腹時の膨満感などが続く場合は、まずは病院に行きましょう。
過敏性腸症候群の診断には問診と他の病気でないことを確定するための検査が必要でしたが、簡単な抗体検査での診断が可能な病院も少しずつ増えています。過敏性腸症候群を恐れ過ぎず、医師と相談しながら自分に適した対処方法を模索し、過敏性腸症候群と上手につきあっていきましょう。
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