食物にアレルギー反応を起こしたことがある人にとって、自分がどの食物のどんな成分にアレルギーを起しているのかを知ることは健康な日常生活を送る上で非常に大切です。
近年発表された医学研究論文によると、食物アレルギーに悩む人はこの30年の間に爆発的に増加しています。食物アレルギーは幼少時に発症するものといったイメージがありますが、専門医によると成人してから食物アレルギーを発症する場合も少なくありません。
今回は食物アレルギーのうち、アレルギーの要因となる食物を摂取した直後には発症せずに、ある程度の時間が経過した後に発症し、自覚症状がないまま不調になっていく遅延性フードアレルギーとその検査について紹介します。
遅延性フードアレルギーとは
一般的に食物アレルギーやフードアレルギーというと、蕎麦アレルギーや小麦アレルギーなどその食べ物を摂取するとすぐにアレルギー反応が出る即時性フードアレルギーをイメージすることが多いかもしれません。
この即時性フードアレルギーとは異なり、アレルギーの要因となる食べ物を摂取してから数時間後から数日後に不調を起こすものを、遅延性フードアレルギーまたは遅延型フードアレルギーと呼びます。
遅延性フードアレルギーの症状は下記のようなものです。
| アレルギー反応が出る場所 | 症状の例 |
| 皮膚 | 肌荒れ/にきび/湿疹 など |
| 消化器系 | 便秘/下痢/腹部膨張/過敏性腸症候群/胃炎/逆流性食道炎 など |
| 呼吸器系 | 鼻詰まり/喉の痛み/鼻炎/喘息 など |
| 精神系 | うつ病/抗うつ/パニック障害/不眠症/統合失調症 など |
| その他 | 頭痛/片頭痛/肩こり/むくみ/メニエール病/リウマチ/慢性疲労 など |
遅延性フードアレルギーは発症するまでに時間がかかるため、上記のような症状が出てもすぐに自分が食べたものが原因であると自覚することができません。
また症状の持続期間も一定でないことが多いです。
例えばそのアレルギーの原因となる食べものが自分の好物だったとしたら、無意識のうちに自分で自分の不調を積極的に招いている可能性もあります。上記のような症状が続く、または頻発し、その原因がなかなか解明できない場合は、自分で好んで食べているものに対する遅延性フードアレルギーかもしれません。
遅延性フードアレルギーの検査方法
フードアレルギーの主な検査方法は即時性フードアレルギー、遅延性フードアレルギーともに血液検査です。
即時性フードアレルギーの場合は血液内の免疫機能の指標であるIgE抗体の値を調べますが、遅延性フードアレルギーの場合は血液内に侵入した異物を攻撃する物質IgG抗体の数値を調べます。
この血液検査では数十〜数百種類の食べ物について調べることが可能で、その結果は反応の強さによって7段階で示されます。「レベルIII」以上が対応を必要するレベルです。ただしIgG抗体は健康な人でも検出されることがあり、この検査の数値が高いからと言って単純にその食物を制限すればよいということではありません。IgG抗体は健康な人でも検出されることがあり、あくまでもこの血液検査による数値はフードアレルギーの原因をさぐる手段の一つです。
遅延性フードアレルギー検査は意味がない?
原因不明の不調の原因が遅延性フードアレルギーかもしれないと疑っている人にとって、血液検査だけで避けるべき食品が分かる血液検査は非常に心強いものであり、積極的に検査したいと感じる人も多いようですが、一方で「遅延性フードアレルギー検査は意味がない」、「遅延性フードアレルギー検査は受けるべきではない」という意見を持つ医者や栄養学の専門家も少なくなくありません。
遅延性フードアレルギー検査が否定される一番の理由は検査結果の精度の低さです。
遅延性フードアレルギー検査で反応が強く出た食べものでも実際にはアレルギー反応が出ていない、逆に遅延性フードアレルギー検査で反応がない、あるいはかなり反応が低い食べものを摂取した時に体調を崩しているといった事例が非常に多く報告されており、日本小児アレルギー学会では「食物抗原特異的IgG抗体検査(遅延型フードアレルギー検査)を食物アレルギーの原因食品の診断法としては推奨しない」という見解を正式に発表しています(日本アレルギー学会「血中食物抗原特異的IgG抗体検査に関する注意喚起」参照)。
精度が低い遅延性フードアレルギー検査の結果を受けて極端な食事制限を行い、栄養バランスが悪くなった結果、別の病気を誘因してしまう可能性も否定できません。
2023年9月現在、遅延性フードアレルギー検査は自由診療であり、その費用は全額負担で、精度が低いにもかかわらず3万円から4万円という決して安くはない費用がかかることも「遅延性フードアレルギー検査は受けるべきではない」と言われる理由の一つとなっているようです。
遅延性フードアレルギーの原因と検査結果の捉え方
遅延性フードアレルギーがなぜ起こるのか、実はそのメカニズムは現状では明確になっていません。原因がまだ解明されていない症状を血液検査一つで判断し、反応がある食物の除去という治療に結びつけるのは危険です。
遅延性フードアレルギーは、腸の病気と関係していると指摘する専門家もいます。私たちが摂取した食物は、腸で消化や栄養素の吸収が行われますが、何らかの理由で腸内細菌が体内へ侵入するのを防いでいる「腸壁バリア」が壊れると、老廃物や微生物成分などといった「異物」が腸の外の血中に入ってしまいます。
この状態を「リーキーガット症候群」と呼びますが、遅延性アレルギーにもリーキーガット症候群が大きく関係しており、リーキーガット症候群によって血中に入った「異物」への免疫反応が食物アレルギーを引き起こすきっかけになっているという説が有力です。
遅延型フードアレルギーの原因は「反応性の高い食物摂取」ではなく、「食物が消化吸収される途中で腸壁バリアの破損によって血液中に流れ出し、免疫反応が起こった」ことであり、遅延型フードアレルギーを根治するなら、「反応性の高い食物を断つ」のではなく、腸壁バリアの「すきま」を塞ぐことを考える必要があります。
遅延性フードアレルギーの検査結果は「リーキーガット症候群の治療や改善を行っている間は控えた方がよい食べ物が判明した」と捉え、食生活の改善のきっかけの一つと考えましょう。なお、遅延性フードアレルギーの血液検査の結果は精度が低いため、多くの病院では血液検査に加え、反応が高い食品を2週間ほど控え、体調の変化をモニターし、不調が改善すればその食物を遅延性フードアレルギーの要因の一つとして診断しています。
まとめ
遅延性フードアレルギーの症状、検査方法、検査結果の捉え方について説明しました。遅延性フードアレルギーはそのメカニズムについて完全に解明されたという状況ではなく、「リーキーガット症候群」が大きく関係しているようですが、それだけでなく個々の体質や生活習慣、既に罹患している病気なども無関係ではないようです。
発症までに時間がかかることや、その症状が皮膚のトラブルや胃腸のトラブル、呼吸器系や精神系の疾患など多岐に渡ることから、「自分の不調が遅延性フードアレルギーによるもの」と自覚している人はまだ多くはありません。
検査や検査結果を受けての除去食についての意見や見解も様々です。検査結果を単純に自己判断し、極端な食事制限などを行うことは、他の病気を招く恐れもあります。遅延性フードアレルギーの検査結果はあくまでも不調の原因や治療法を明らかにする上での目安の一つとし、食生活の改善をはじめ、多方面から体を整えることが大事です。
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